Bird's eye view of a crowded city

都市温暖化を食い止める:

ヒートアイランドを科学の力で解決し、より健康的で環境に優しい生活を

都市の生活は、雇用、教育、娯楽の面で多くの利点があります。だからこそ、多くの人が世界各地の都市で生活しています。地球上の全人口の約56パーセントが都市に住んでおり、その数は2050年までに68パーセントに増加するともいわれています。例えば東京やムンバイのような巨大都市の人口は、30年以内にそれぞれ3,000万人を超える可能性があるのです。

一方、都市化は環境問題の原因にもなります。大気汚染、土壌汚染、水質汚染の多くは都市で起こっており、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの70%以上を発生させています。交通渋滞、あらゆる場所で行われている土木工事、市街地の照明の電力供給など、都市での様々な活動には、膨大な量のエネルギーが必要です。自然エネルギーの導入が進んでいるとはいえ、そのほとんどは、大気汚染や気候変動の原因となる炭素系エネルギー源から供給されています。

これらは、環境破壊だけでなく人々の健康面にも影響を与えており、都市部で生活する人で肺の疾患を持つ人が増加した原因になっています。大気汚染は喘息、気管支炎、COPDなどの症状悪化の原因となり、毎年数百万人がそれらを原因に亡くなっているのです。米国環境保護庁によると、米国では猛暑が原因で年間約1,300人の命が奪われています。猛暑により、人間の活動の結果として都市の気温が周辺地域よりも高くなる「都市型ヒートアイランド現象」などの問題が引き起こされています。

テクノロジーで都市の冷却化を

昨今、多くの科学者やイノベーターが、都市をより健康的で、環境に優しく生活できる場所にするよう、さらには都市の気温を下げるよう、画期的な技術を開発しています。顧客、株主、従業員、その他のステークホルダーからの高い要求に応えるため、民間企業ではサステナビリティ(持続可能性)活動を会社の収益活動と同じくらい重要だと考えている人材がますます増えてきています。その代表ともいえるのがミネソタ州セントポールに本社を置く3Mです。3Mは、次の3つの柱からなるサステナビリティのフレームワークを採用しています:「Science for Circular(サイエンスで循環型経済に貢献)」、「Science for Climate(サイエンスで気候変動に貢献)」、「Science for Community(サイエンスでコミュニティに貢献)」

3Mのセーフティ&インダストリアルビジネスグループのマーケティングオペレーションマネージャーであるキャリー・ニーズゴッキ氏は「サステナビリティは当社の中核をなすもの」と、また「製品やソリューションを開発する際には、サステナビリティ・バリュー・コミットメントを示し、すべての製品がどのようにより大きな利益につながるかを示していく必要がある」と述べています。

3Mのイノベーションの中には、都市の大気汚染の減少と、都市のヒートアイランド現象を相殺することを期待されるものがあります。例えば、住宅用のCool Roofing Granulesは太陽熱を反射し、他の屋根板が吸収してしまう熱や太陽光を方向転換させる効果があります。カラーバリエーションも豊富で、ロサンゼルスなどでは「Cool Roof条例」と呼ばれる地域規制により、反射材の使用が義務付けられているため、広く使用されています。

3M roofing granules
3Mは、大気中のスモッグを吸着させ、植物に利用可能な窒素に変換する屋根用粒状物を開発しました。

3Mのイノベーションの中には、都市の大気汚染の減少と、都市のヒートアイランド現象を相殺することを期待されるものがあります。例えば、住宅用のCool Roofing Granulesは太陽熱を反射し、他の屋根板が吸収してしまう熱や太陽光を方向転換させる効果があります。カラーバリエーションも豊富で、ロサンゼルスなどでは「Cool Roof条例」と呼ばれる地域規制により、反射材の使用が義務付けられているため、広く使用されています。

3M™ Cool Roofing Granulesは、原料鉱物の上に高反射率の着色セラミックをコーティングしています。「都市部の気温が1~2度下がると、猛暑下で助かる命の数が格段に増えることがわかりました」と、ニーズゴッキは最近のワシントンポスト・ライブのビデオ上映で語りました。

3M の Cool Roofing Granules を使用した屋根瓦は、カリフォルニア州の建築基準法 24 を満たしています。「屋根材業界では、地域社会の気候問題にどう取り組むかに皆関心があります。同時に、より環境にやさしい素材を求める消費者の要求にも応えていくことも重要です。」

「屋根板は全米の住宅で最も広く使われている素材です。それをスモッグ対策用表面に変えることができました」
3Mセーフティ&インダストリアルビジネスグループ ・オペレーション・マネージャCarrie Niezgocki 氏は言います。

3Mは、大気中のスモッグを吸着させ、植物に利用可能な窒素に変換する屋根用粒状物を開発しました。「屋根板は全国の住宅で最も広く使われている素材なので、それをスモッグ対策用表面に変えると、2~3本の木を植えるのと同じくらいの効果が期待できるのです。」

太陽光線が3M™のスモッグ低減粒子を活性化し、スモッグを水溶性のイオンに変化させます。この粒剤は、オレゴン州の Malarkey Roofing Products やジョージア州のアトランタに拠点を置く Atlas Roofing Corporation など建設業界のパートナーが製造する屋根材に使用されています。ニーズゴッキは、「私たちは顧客と協力し、独自の解決策を講じるとともに、消費者との共同研究も続けています。「弊社の研究開発チームと協力して、解決しようとしている問題を確認したり、機会を評価したりするときに合う、『それはまだ発明されていない』という言葉が好きです。 イノベーションが始まる出発点なのです。」

City street with trees and buidlings
tall building under construction with construction crane

進歩のための政策

政策の観点から、3Mは、より多くの管轄区域が、環境への好影響を促進し、都市化による気候への影響を緩和する建材の使用を義務付けるべきであると考えています。「ロサンゼルス市のようなインフラ政策で成功した例もありますし、気候変動に対してコミュニティがより強靭になるにはどうすればよいかという議論が続いていることも心強いです。」

進展の兆しとして、2021年にバイデン米大統領が署名した1兆ドルの超党派インフラ法案には、気候変動への回復力と風力発電プロジェクトに500億ドル、クリーンエネルギーとグリーングリッド構想に650億ドルの投資が含まれていることが挙げられるでしょう。

その他、都市の温暖化対策と環境保全に役立つ3Mのイノベーションは以下の通りです:

  • • 3M™ Natural Pozzolans(天然ポゾラン): セメントの一部代替として使用しコンクリート製造時のCO2排出量を削減
  • • 3M™ Nanostructured Supported Iridium Catalyst Powder(ナノ構造担持イリジウム触媒パウダー): グリーン水素の効率向上とコスト削減に利用可能。グリーン水素とは、製造過程で二酸化炭素を排出しない持続可能な燃料です。
  • • 3M™ Passive Radiative Cooling Film (パッシブ放射冷却フィルム): 太陽エネルギーを反射し、24時間365日パッシブな熱管理を提供

「猛暑によって地域社会が直面している多くの問題に対処できるような製品やソリューションの提携のニーズの増加に伴い、3Mはすでにさまざまな冷却ソリューションを提供しています。」